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トピック4
「叱り方研修」をやりたい

◆ 叱り方を学ばせたい理由

外資系医療機器メーカーから「叱り方研修」を実施してほしいという依頼がありました。
叱り方!? テレビか何かでそのような研修が存在することは知っていましたが、まさか依頼を受けることになるとは思いませんでした。

叱り方を学ばせたいとは一体どのような状況なのか? ヒアリングを進めていくと、現場の様子が明らかになってきました。

もともとその会社は製品力が強く、営業担当者はお客様と仲良くなり、何度も通って「頑張っている」ことを示していれば、それなりの結果がついてきていました。社内の業績プレッシャーも弱く、誰も結果に責任を負わないような組織風土だったとのこと。それでも日本支社の売上は高く、何も問題はありませんでした。

それが近年、競合製品の力が強まってきたために簡単に契約を取ることが難しくなってきました。いわゆる複合提案、課題解決型営業へのシフトが求められます。業績に対するプレッシャーもきつくしないと、前年を上回ることが困難に。

ところが、相変わらず現場は「頑張ればオッケー!」。
会議で決めたはずの話が、いつのまにか雲散霧消。
こんなぬるい風土を改善するためには、まずマネージャー陣を何とかしないと・・・このような経緯でした。

この依頼に対して、まず私たちが考えたことは、「叱り方だけではなく、褒め方もセットで扱ってみては?」ということ。

望ましくない言動を改善させるために叱り、望ましい言動を強化するために褒めるのですから、部下の特定の言動に対してのフィードバックという意味では一緒です。叱り方だけを扱う研修と言われると、受講者もあまりいい気分がしないのでは?

加えて、もっと重要なことがあります。
叱る/褒めるを判断するときの「基準」について、ちゃんと部下と合意がとれているかどうか、ということです。

基準を上回ったから、褒める。
基準を下回ったから、叱る。
当たり前のことです。基準の合意が無いところでそれをやってもうまくいくはずがありません。

基準の合意が無いところで褒められても、部下は「一体なんのこっちゃ」と思います。下手をすると、何でも褒めるという良くないパターンに陥ります。

基準の合意が無いところで叱ろうとすると、部下は理不尽な扱いを受けたと解釈します。約束もした覚えのない事について、いきなり「何やってんだこの野郎」と言われても。

基準の合意があれば、褒めるというのは普通の承認行為です。作り笑いも、オーバーアクションも不要です。同様に、叱るというのも「怒る」ではなく「指摘」です。わざわざ強面で声を張り上げる必要なんてない。もし、基準の話に全く触れず、その種のロールプレイばかりやるような研修だとしたら、はっきり言って時間の無駄です。

ということで、改めて確認。
「叱る前に、基準はすり合っているのですか?」

◆ この状態で、あなた、叱れます?

実際に提供した研修では、この「基準」の再確認に多くの時間を費やしました。

部長職の研修では、自部門の目標を書いてもらい、現場に戻って課長たちとすり合っているかどうかを確認してもらいました。

最初のうちは、なぜ今更こんなことを?という雰囲気で渋々作業をしていた受講者の皆さんが、現場から戻ってくると「いやあ、全くすりあっていませんでした」と声を揃えました。

期初に作った方針書には「○○する」と書かれており、それは共有している。しかし具体的に何をどのレベルまで、というところまですり合わせていないので、解釈や思惑が全然異なっている。これでは、仕事がうまく進むはずがありません。

受講者に尋ねました。

「この状態で、あなた、叱れます?」

たぶん、何となくおかしいな、違うよなと思いつつも、具体的な言いようが無くて困るだけでしょう。

組織レベルにせよ、個人レベルにせよ、まずは基準の設定と共有。その上で、基準に基づき褒める、叱るというフィードバックを展開していくこと。

実際に叱る場面では、基準に即していればそのやり方様々です。出来ていないということをコーチングのアプローチで伝えた方がいい部下もいれば、はっきりと「約束したのにやっていないよね」と言ったほうがいい部下もいます。相手と状況を見て手段を決めればいいのではないでしょうか。

◆ 年上の部下を叱る

研修後ある受講者が、次のような感想を話してくれました。

「褒める、叱るということが目的なのではなく、単純にビジネスをちゃんとやるということですね。今まで自分がビジネスそのものを疎かにしていたことを痛感しました」

別の受講者からはこんな質問を受けました。

「基準の合意ができていれば、年上の部下も叱りやすくなりませんか?」

年下の部下に対しては、基準があいまいでも「ちゃんとやれ!」と叱りやすい(本当は良くないことですが)。一方で、年上の部下に対しては同じような言い方はなかなかできません。腫れ物に触るような感じで「こんな感じでやってほしいのですが…」と雰囲気を伝えるだけで終わっていて、出してきた結果にも満足していないのだけれど、何も言えない。

明確な基準を合意しておけば、「このような約束をしていましたが、現状こうですよね」という指摘は難しくありません。仕事を促すことも多少楽になるでしょう。

「年上の部下の扱い方」というのも研修テーマとして最近見られるようになりましたが、年上であれ年下であれ、何よりもまず基準の明確化と合意が必要であると考えます。


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